すべてが芽吹き、色付く、春。
私は、いや、僕は。
あいつらに女だからと置いてった事、とくと後悔させてやる!
そのためにここまで来たんだもんねっ
男子のように高く結った髪を揺らし、男装をし、屯所前に掛けてある看板を見ながらふんっと鼻息を荒くした少女こそ、沖田総司の実の双子の妹、沖田朱鳥である。
可愛らしい容姿と、その同じ栗色の髪がその事実を裏付けていた。
「すいませーん」
声を掛けられた門番は、その声の主を確認し、男と分かりつつも微かに頬を染めた。
「な、なんでしょう」
「あのー、今すぐ局長と副長と沖田って奴、出してください。」
可憐な笑みを浮かべ、少女が言い放った言葉に門番も唖然とする。
なんだこの餓鬼。
これが普通の感想だろう。
いきなり来て、局長、副長、隊長出せ?