クシュン

外にでた瞬間にくしゃみが出た。図書室は暖房が付いてるから、外の寒さなんて全然感じないんだよね



『お前さぁーコートは?』

『あっ!忘れて来ちゃった』

多分教室だ…

先輩は大きくため息を吐いた


わぁー…呆れちゃった?

『でっでも大丈夫です!!あたし体温高い子だから…ックシュン』

慌ててフォローしようとしたのに、なぜこのタイミングで、くしゃみがでるのよ自分っ!?

先輩の顔を見るのが怖くて、あたしは俯いた


『ったく…しょーがねぇな…』


その言葉と同時に、フワッと先輩のコートを肩に掛けられた。先輩の匂いがあたしを包む


『俺のコート着とけよ』

『でもっ先輩がっ…』


『いいからさっさと着ろ』

そう言って歩き出す先輩に、あたしは慌てて袖に腕を通して、後ろから先輩に飛びついた


『先輩ありがとっ』

『ハイハイ分かったから離せ』

『こーしてたら暖かくない?』

『歩きにくい』

そうキッパリ言われ、腕を離された


それでもあたしは、ニコニコしながら先輩の隣を歩く


今日の先輩は、いつもより優しい気がしたんだ