「なんかさー、篠原君って、無愛想だよね」

トイレに手をかけたとき、

小さな声でそう聞こえた。


クラスの女子の声だ。




私は思わず足を止めた。



「そうそう。名前も教えてくれないしねー」


そうなんだ…


「なんか興味無いみたいなねー」

「でも藍田さんの事もシカトだったよね」


藍田さんとは、学年で一番可愛いと有名な女の子。


私は彼女とクラスだ。



「女に興味無いんじゃない?」

「そうかもねー。じゃ、うちらにもムリだよね。落とすとか」


やっぱ、皆狙ってるんだ。