「秘密に、してくれませんか?」 窪田さんが、どこまで知ってるのかは知らない。 私の、苗字が変わった理由まではきっと知らない。そう願いたい。 ただの、両親の離婚だとかそんな風に思っているだろう。それでいい。 「言うつもりは、ないんだ? 自分が、本社の人間であったこと。」 その言葉を聞いてホッとした。 それだけしか知らないなら、そうでいてほしい。 私は、社長自らにお願いされて来た人間。 それしか、知らないのかもしれない。