「俺?いるように見える?なんか意外だな~波多野がそんなこと聞くって…」
意外か…あたしが無愛想だったからか?
「え。なにそれ。いるように見えるよ?」
「いないけどな?」
あははって笑う。なんの曇りもない笑顔で。
いない…のか!

もうすぐ祭り区域から離れる最後の最後であたしたちは初めて2人で店に立ち寄った。
「あれ欲しい!」
っていう鶴木の軽い一言で。あたしにはそれが大きな一言だった。
「あたしも!」
あたしは自然と笑みがこぼれてた。嬉しいよ。ほんの少しだとしても、2人で夏祭り楽しめたから。