鬱陶しい梅雨も明け、からっからに晴れた空は夏の始まりを告げている。

「柚琴かーえろ!あ、涼介も帰んの?」
亜矢は永冨を名前で呼ぶようになっていた。
「おう、帰ろーぜ」
「帰ろ帰ろ~!」

夏休み前最後の学校。終業式を終え、帰る生徒達の異様なハイテンション。

校長先生の話を聞いている時は皆死にそうな顔をしていたのに。まるで、空気中にいた魚が水中に戻って生き返ったみたいな。

待ってましたとばかりに解散する魚達。
今日今からの予定が飛び交う。
終業式は午前中だけで終わるから、遊ぶにはもってこいの日だ。というのは言うまでもない。