あいつはあたしのことを何も知らないだろうけど、あたしはあいつのことはだいぶ知っている。
知ろうとしなくても、教室にいれば、情報は耳に入ってくる。

噂によると、鶴木は先輩達からの部活勧誘を全部断って、帰宅部を貫いたらしい。中学のころは、サッカー部のキャプテンだったらしい。
それがなぜいきなり帰宅部か、誰もがみんな疑った。別に興味のないあたしでも妙だと思った。

女子軍達が男子部のマネージャーとかわーわー話し合う中、あたしと亜矢は帰宅部。
「だるいも~ん」と口を尖らせて栗色の髪を指でくるくる巻く亜矢。