あたしは差し出された赤い縁取りの回覧板を通りすがりに片手で受け取った。
「どうも…」
それだけ言って門扉を開け敷地内に入った。
「…冷たいんだね」
え?
あたしは一瞬振り向いたけど、何事もなかったように家に入った。

あーあ……

別に怒ってたわけじゃない。どうしていいか、わからなかっただけ。あたしはあのキャーキャー言ってる女子軍と一緒にされたくなかったから、ここで嬉しそうに話し掛けたり出来なかった。
あたしにとっての鶴木は、クラスメイトっていうより、近所の男子生徒っていう方がしっくりきた。