そんなある日、体力テストがきっかけでヤツの人気は爆発的に高まった。
ヤツはなんともスポーツ万能だったのだ。
50メートルをたった6秒で走り、女子からは歓声が上がった。次の長距離走ではクラストップを切る。
隅々からそういった会話が聞こえてくる。
「鶴木君超かっこいい!」
「やばくない!?」
「やばすぎる!ほんとイケメン!」

ミーハーな亜矢もキャーキャー言ってた。でもあたしはなんとなくその中に入る気になれなかった。あの公園の鶴木を見たからか、なぜか遠巻きにキャーキャー言える気分じゃなかった。勿論彼のことは何一つ知らない。