「柚琴…」

鶴木は立ち上がった。
あたしは驚いて顔を上げた。
「柚琴」って………初めて言ってくれた…。

「ありがとな!」

あたしの目をじっとみて微笑んだ彼は、それだけ言って無造作に転がったスクールバックを手に取って公園を出ようとした。

待ってよ………
今日半日ずっと一緒にいたのに…そんな別れ方ってないよ…!

「待って!」
慌ててスクールバックを拾い上げ、鶴木に駆け寄る。

「送るよ?」