『だから、友だちもできないし…
父親が居る時間より2人の時間の方が多い…
親には最低限のものしか買ってもらえなくて…
携帯とかゲームとか皆みたいに持ちたかったけど中々いいだせなくて…
夜も毎日出かけて、捨てられたって思った日も何度もあった…
捨てられないように死ぬ気で受験もした…
』
沙紀の声は震えていた
『実の父親は黙ってどこかに逃げた、2人目の父親は暴力ばっかり…3人目の父親とはろくに口をきいたことがない…』
『(ヤバい…泣いちゃうよ…)』
沙紀は涙を堪えた
知らない男の息子にこんな話しをしているか自分でもわからない
『ごめん…今の話しは聞かなかったことにしておいて』
圭人の顔を見ることができず下を向いて唇を噛んで涙を堪えていた
