そのハチ公前に座る銀色の鬣を振りかざす狼の姿に目が釘付けとなり私は思わず助手席を飛び出した。 グニャグニャとした地面の不快な感触と時間の流れが遅くなり…やがて銀色に世界はなったまま時が止まる。 人も車も何もかもがいきなり銀色の景色のまま動きを停止させた。 私はその中をとにかく目的の銀色の鬣の主の所めがけて走る。 「――よう!! 随分…探したぜ!!」 忠犬ハチ公の横に並ぶように座る銀色の鬣の主は私を目前にすると立ち上がり見つめた。