―――時は、4世紀の時代…。 ―――ところは、百済のとある旅の宿舎にて…。 「この部屋で…。」 部屋というには…馬小屋に近いその宿舎の部屋に通された私は…ひとまず腰を下ろす。 「外で寝るよりは…マシか…。」 私の名は…伽耶〈カヤ〉。 ここは‥百済という国境にある宿舎だ‥。 国は乱世により乱れに乱れている時代…まさに猫ですらも国の頭になれるだろう‥という程に分裂し十六国とも連なり戦に明け暮れている時代だ‥。 ‥後々人はこの時代の事を『五胡十六国』と謳う‥。