俺は哲が原田さんのことを“葵”と名前で呼んだことにちょっと胸がズキンとした。 ある意味で失敗したかな、なんて思ったけれど 俺と同じ瞳をしていた彼女を放っておくことなんて出来なかった。 ヒトリであることを知っているひと。 原田さんは硬直してその場でピクリともせずに突っ立ったままでいる。 「……ひさしぶ…り…」 その声は機械的で冷たくて、どこか燃えるように熱かったのは 俺の気のせいかな?