小さな女の子が少し遠くにいて 笑顔で手を振っている。 あたりは真っ暗で、その子だけが道標のごとく明るかった。 『哲ちゃん!』 『哲ちゃん!』 俺は足を進める。 彼女の声を頼りに。 近付いて細い手首を掴もうとした瞬間 彼女はフッと消えた。 まるで幻影だったかのように。 あたりは急に暗さを増した。