「じゃあこの問題を──木戸哲!」 突然、自分の名前が呼ばれハッとする。 急にあたりが鮮明になり、山下が俺を見ていて黒板には汚い数字の羅列が並べられているのに気付く。 「……すいません。聞いてませんでした」 「珍しいなあ!木戸がボーッとしてるなんて!」 山下は心底驚いた顔でマジマジと俺をみる。 クラスメイトも物珍しげにチラチラとこちらの様子を伺う。 俺はハハハと苦笑してみせた。