「読んでみなよ。楽しいよ!」 原田さんも笑った。 俺は心臓の高鳴りが少し落ち着いて思わず安堵のため息がもれた。 「原田さんはなんで図書委員になったの?」 「あたしは…もちろん本が好きだから……それに図書室ってなんだか落ち着くの。静かで、誰かのことを笑う声も誰かの悪口も聞こえてこないから……」 そう言う原田さんの顔は優しくて、どこか切なくて、俺はその表情を知っていた。 それは確かに孤独を知っている顔だった。