原田さんは恐怖混じりの驚いた様子で俺の顔をうかがう。 俺は気付かれないように小さく深呼吸をして、笑った。 「俺も本、読んでみよっかなー」 気付かないで。 どうか、気付かないでいて。 何も、見ないで。 俺は静かに生きていくから。 誰も気付かないような 深い深い 海の底で。