もしかしたら俺もこれから少しずつ本を読んでいけば、あの精神医学の専門書が解読できる力がついて、俺のこの心をコントロールできるようになるかもしれない。 「なぁ、お勧めの本ってある?」 俺は身を乗り出し、強い口調で原田葵に尋ねた。 そんな俺の勢いに原田さんはビックリして目を大きくした。 そして少し戸惑ったあと思いついたように俺の前に一冊の本を静かに置いた。 「え、えっと…。あ、今はこれ……かな」