「ごめん!俺が寝てたから鍵閉めできなかったんだろ?!」 俺がそう言うと原田さんはキョトンとした瞳でこちらを見つめた。 予想外の展開、というように。 「い…いいの!全然!気にしないで!」 それから小さな声でオドオドしながら答えた。 「でも授業が……」 「大丈夫。それより榎本君の方こそ、授業さぼって大丈夫なの?」 「俺は平気。しょっちゅうサボってるし!」 そう言うと原田葵はにっこりと笑った。 その顔はとても朗らかで暖かで、なんだかこちらまで笑顔させる力があった。