我に返った。

「ごっごめんなさい!こんな話おもしろくないよね。ごめん……ほんと……。気にしないで…」


榎本君の柔らかな雰囲気につられるように、あたしは誰にも話さなかったことをフワリと放してしまっていた。


「ねぇ俺にもおすすめの本、紹介してよ」


榎本君は日の光に照らされながら、優しく笑っていた。



それがすごく暖かで
胸の奥がジワリと熱くなった。