いつも失敗ばかりで自分がほんと嫌になる。
あまり話したことのない榎本君にだって、呆れられたに違いない。
あたしは時計をみて呆然としている榎本君を前にただオロオロするしかできなかった。
「ごめん!俺が寝てたから鍵閉めできなかったんだろ?!」
怒られるかと思っていたのに…拍子抜けだった。
榎本君は手をあわせて必死に謝ってくれている。
「い…いいの!全然!気にしないで!」
「でも授業が……」
「大丈夫。それより榎本君の方こそ、授業さぼって大丈夫なの?」
「俺は平気。しょっちゅうサボってるし!」
そう言って笑う榎本君の顔は可愛らしくて、なんだか安心してつられてあたしも微笑っていた。



