うるさい教室のなかで、扉が閉まる音がかすかに聞こえた。


「あー、原田葵さんだー。図書委員かな?まっじめだねー!美優だったら絶対無理!」


───原田 葵

その言葉が耳に飛び込んだ瞬間、心臓がドクンと大きく響いた。

目をやると確かに君が教室をでていく後ろ姿があった。


「原田さんとか全然喋ったことないや。あの子根暗っぽいしー」


君の姿を見つめると懐かしい記憶が蘇る。


泣いている君。

震えている小さな体と
サラサラな髪。



喉の奥が熱くなる。

「人のこと何も知らないでそういうこというなよ」


絶対、俺が守ると誓ったから。