俺はチャイムが鳴っても、教室に戻らず
図書室で原田さんが最後に残した言葉を考えていた。
そして、わかった。
俺が原田さんの気持ちに答えられなくても傍にいてほしいと願っているように
哲も俺にたいして同じことを思っているのだろうことを。
そして原田さんも
俺が哲に好きだと言ったけれど変わらずに傍にいてほしいと思っているのと同じことを願っていることを。
『……きっと哲も今の翼くんと同じ気持ちだと思う。そしてあたしも今の翼くんと同じ気持ちなんだろうね』
原田さんはこのことを俺に気付かせるために……
原田さんの優しさにただ涙が溢れてきて
泣くことしかできなかった。



