廊下を走るあたしの心臓は大きく高鳴っていた。 あんなに大きな声を出すのも 誰かを怒鳴りつけるのも あれが初めてだった。 何を言われようと どう思われようと そんなことはどうでもよくて、ただ翼くんに傷ついてほしくなかった。 あたしがどんなに翼くんを想っても 翼くんの気持ちは哲から揺るがないことは知っている。 それでも走るこの足は ただ翼くんだけを探している。 誰かをすきでいることは苦しい。 それでも、恋をする。 「翼くん!」