神様が泣いたあと



廊下を走るあたしの心臓は大きく高鳴っていた。


あんなに大きな声を出すのも
誰かを怒鳴りつけるのも

あれが初めてだった。


何を言われようと
どう思われようと

そんなことはどうでもよくて、ただ翼くんに傷ついてほしくなかった。


あたしがどんなに翼くんを想っても
翼くんの気持ちは哲から揺るがないことは知っている。

それでも走るこの足は
ただ翼くんだけを探している。


誰かをすきでいることは苦しい。

それでも、恋をする。



「翼くん!」