「……翼くん?!どうしたの?!哲に何があったの?!」 俺は保健室に向かう階段の踊り場で立ち止まり、掴んだ手を放した。 「俺じゃなかったから…」 「……え?」 原田さんは不安げな顔で俺を見ている。 「哲が一番苦しいときに傍にいてほしいのは俺じゃないんだよ!」 俺の叫び声が、授業中で誰もいない廊下に響きわたった。