神様が泣いたあと

「絶対、誰にも言わないで終わる恋だと思ってた……。恋愛感情じゃないって言い聞かせてたときもあった。だけど俺が哲を好きな気持ちはホントだから……」


こぼれ落ちる翼くんの言葉を一語一句壊さないよにあたしは掬いとる。

「哲の弱さも強さも俺が全部受け止めたいんだ。アイツは優しくて優しすぎて、自分の痛みを人に言えないとこがあるから……そんな哲を放っておけない」

少し俯きかげんの翼くんの額には茶色の前髪で陰ができている。


「俺、もう逃げたくないんだ」



顔をあげた翼くんの突き刺すような瞳に曇りはない。