男子生徒は同じクラスの榎本翼くんだった。 榎本くんはスヤスヤと小さな寝息をたてて熟睡している。 起きる気配はない。 どうしよう。このままでは図書室の鍵をしめることができないし授業が始まってしまう…… あたしはトントンと眠る彼の肩をたたいてみた。 「…あの~……」 榎本くんはピクリともしない。 「すいませーん!」 今度は耳元でさっきよりも大きめの声で呼びかけた。 それでも起きる気配はいっこうにみられない。