小さなゆびわ

でも、ちょっと、見たい気が…。
あぁーーーーーーっ、もう!
しないしない!
「ほんと、いいから。家の母さんも、喜ぶから。来てもいいよ」
あたしはその場から逃げだした。
でも…。
心の奥から見たいって気持ちが溢れだしてくる。
もう、いや!
恋なんて、うんざり!
傷つくだけなのに…。
何で?
やっぱり、男子の事なんて。
好きになれるわけ無いじゃない…。
どんっっ!
「「きゃあぁっっ!!」」
どすん、と尻もちをついた。
「あ、結梨ちゃん?ごめん!」
「ま、真実ちゃん?」
何で…?
「て、てか、真実ちゃん?部活は…?」
言いかけて、息が止まりそうになった。
「なぁにやってんのよ!!真実!ソーダ20本はぁ?買ってきてよ」
えぇ…!?
こ、これって…?
ドォンッ!
あたしの前に、真実がドサッと倒れこんだ。
「ま、真実!?どうしたの!?」
ちゃんをつけるのを忘れて、真実の体を揺らした。
これって、もしかして…!
イジメなんじゃ…!
「ちょっと、何してんのよ」
「うぅ…。大丈夫だから。やめて、結梨…」
あたしは、茶髪をぐるりと巻いた、ハデな女の人。
そう、真実を蹴ったりした人を睨みつけた。
「お願い…。危ないよ結梨…」
「大丈夫!あたしは負けないし!」
強気に言って、真実を安心させる。
「でも…」
な、に…?
何がそんなに不安なの、真実…。
「あたし、高瀬こころ」
どさ、と音を立てて真実が気絶してしまった。
「あらあらぁ、気絶しちゃったのぉ?弱い事」
何よ…!あたしの大切な親友を…。
「あらぁ?アンタ、だぁれぇ?」
あ、あたしの事よね…。
「私、渡辺結梨!真実の…」
言いかけたら、急にほっぺに激痛を感じた。
「い、痛い…」
「そりゃそうよねぇ」
う、ぅぅ、い、痛いよ…。
「でも、チクッたらどうなると思ってるの?」
「知らないし…。興味ないよ…。あんたの事とか、全く…」
「はぁ?小生意気な事!知らないですって!?」
いやっ!
ドッタン!
「殴られるのよ!蹴られるのよ!思う存分[物]になるのよ!」
物、か…。
こんな、人の、物か。
「いや」
あたしは思わず言っていた。