小さなゆびわ

5時限目。

あたしの得意な数学になった。
「いいですか?ここは中学で習った事を使うんです」
塾でやった単元だから、ノートに写すだけ、していた。
「じゃあ、ここで今日は終わり。お昼休みしてー」
あたしはお弁当が無いので、学食へ向かった。
「えぇと、カレーうどんと、烏龍茶下さい」
お金を払おうと財布に手をかけると。
「あ、僕もカレーうどんと、烏龍茶。お金は僕が払います!」
はぁぁぁ!!!?
どうゆうこと?
「おごってほしくない!」
ギロリと睨むと。
「あ、気にすんなって!」
イライラッ。
「つきまとうのヤメて」
「悪い悪い。これ、最後」
カッチーン。
「良くない!あたし自分で払います!えぇと、480円」
カレーうどんを受け取って、女の子の間に座った。
「あ、渡辺さん」
他愛もない話で盛り上がっていると、予鈴がなった。
教室の自分の席に座って、ボーーッとしていると。
真実ちゃんがやってきた。
「あのね結梨ちゃん。高田くんが、これ渡してって…」
はあ?
あきらめの悪いやつ。

「いつも、迷惑かけているのかな。
でも、あきらめられません」

うぅぅぅぅ…。
汚いよ、高田くん。
あたしをこんな気持ちにさせるなんて…。


いつもは習い事に追われて大変だったけど、今日は暇。
「どっか行こーっと」
フラッと出かけた町は、高田くんの家がある所だった。
ちょっと、なんで、あたし…。
そこは、大きな一軒家。
何で、来ちゃったんだろう?
ヨロヨロと歩いて、町から離れてしまおうと思った時だった。
「ん?わわ、渡辺さん!!!?」
えっ?
あぁっ!
「た、かだくん…」
いや、逃げたい…!
「どうしたの?渡辺さん」
えぇっと…。
何て言えばいいの…?
「さ、散歩」
ううぅ、気まず…。
「へぇ。いいね!」
「あ、りがと」
帰りたいよぉ、家に。
「ここ、僕の家なんだぁ。来る?」
いや。
「そんなのいいよぉ。帰るね、あたし」