小さなゆびわ

塾が終わって、8時になった。
カツカツカツカツ…。
「ねぇ!高田くん、ついてくるのやめてよ!」
さっきからずっと、後ろに来る。
何者!?
「あ、いや。こっちなだけ」
うそつけ。
反対の門から帰ってるじゃん。
「あ、いや。こっちなだけ、ホントに……」
イライラッ。
「いい加減にしてっ!警察に言うわよっ!」
あ、驚いたかなぁ、そろそろ。
「ごめん、ごめん!でも、あの」
はぁっ!?
「なに!?はっきり言ってよ!!」
「ケータイアドレスだけ」
「えぇっ!?」
ちょ……。意味分かんないよ…。
あんまりしつこいので、ケータイだけ交換した。
どうせすぐ消すし、いっか。
ていう思いと。
イケメンと交換できて、うれしい。
ていう思いがあった。
あたし、どうかしてるよぅ……。
初恋だし…。
あ、あたし、初恋って言っちゃったぁ…っ。違うっ!
こんなストーカーに!
「どうしたの?」
高田くんが駆け寄ってきた。
「うるさい、このストーカーッ!!」
あたしは意地になって叫んだ。
走って家に着いた。
家でケータイを開くと。
「高田 拓也」
の字が。
 ♪♪♪♪♪ 
着信…。
「もしもし」
「あ、さっきどうしたの?」
「ーっ、関係ないっ…」
「へ?」
思いっきり大きな声で叫んだ。
「あんたには、関係ないっ!」
ブッ。
ツーツーツー。
ま、本当は、関係アリアリですけど。