恋をする女の子の気持ちが分からない。
「はーい、みんな、一人ずつクジ引いて」
あ、あたし、出席番号最後かぁー。
カサッ。
ええと、6番か。
「6番です!」
「はい、オッケー!ありがとう」
胸がドキドキと鳴る。
となり、男子だったら、どうしよう…?
「あ…、わ、渡辺さん?私、真実。よろしく…」
ん?
となりの子かな?
「あ、あたし、結梨。よろしくね…!」
よかったぁ、優しそうな女の子のとなりで…。

「さようならー」
あたしのお母さんは、来る日も来る日も仕事。
だから、あたし一人分のご飯を置いて、お母さんはあたしが寝てから帰ってくる。
お父さんは、あたしが2歳のときに離婚してから一度も会ってない。
毎日、泣いてきた。
静かなマンションの3階に暮らしている。
「学校、行きたくないなぁ…」
ポロッと、つぶやいた。

「あーあ。着かなくていいのに…」
校門が見えてきた。
校門をくぐった。
「おはよ…、結梨ちゃん」
あー、えっと、神埼真実ちゃん。
きのうあいさつしたっけ…。
「おはよう、真実ちゃん」