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「いよいよ、明日
受験だな~」
放課後、また伊吹の部屋にお邪魔して明日に備える。
備えるといっても少し復習して、緊張をほぐすために伊吹と話すだけなのだけれど。
「伊吹、
もしもあたしが受かったら
映画見にいかない…?」
白いテーブルの下で
きゅっと小さな希望を
握りしめる。
「え。
あー…ご褒美ってこと?」
「ん。そう。」
「いいよ、行こう。」
伊吹は
なんとも言えない顔で
微笑んで
あたしの頭を撫でた。
「あたし、頑張る」
「おう。
明日まですべったり転んだりしないように今日は見張っといてやるよ。」
「なにそれ怖い」
「俺の守護霊やる。」
「守護霊とかいたの。」
「はい。」
シャラッという音をたてて
あたしの手のひらに
キーホルダーが
置かれた。
「可愛い!」
「だろ~。お守りな!」
「ありがとう」
白いリボンがついた
ピンクトルマリンの魔法石。
それに金色の小さな鈴。
あたしの、守護霊。
伊吹が守ってくれるって
思ったら嬉しかった。
