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「い、ぶき?」
目の前のベットで
横たわっているのは
確かに昨日まで一緒にいた
愛しい伊吹。
けど、違うのは
「冷たい…」
そっと触れた
サラッとした息吹の肌が
暖かみを無くしたこと。
「伊吹、伊吹っ…」
知らぬ間にもう目は
涙がこぼれ落ち続けてる。
なんでそんなに
冷たいの
目を閉じたまま
伊吹は何も言わない。
ねぇ、
映画見に行くんだよ。
約束、したじゃん。
約束破っちゃいけないって
言ってたの伊吹だよ?
ねぇ、ねぇ、ねぇ
頬に何度も伝う温かい涙が
「なんで 伊吹が…」
ぽとりと伊吹の綺麗な肌に
落ちる。
あたしの悲しみも
計り知れないほど
溢れ出していた。
