彼は私をおんぶして、どこまでも走っていく。


まるで、誰かに追われているかのように。


私たちより少し背の高いヒマワリたちの中を走っていくのだ。


少したち、私たちはヒマワリ畑から出た。


そこは、さっきのヒマワリ畑とは違い、薄暗く彼の顔すらちゃんと見えない場所だった。


そして、そこにあった切り株に座り話し始めた。


『なち、大丈夫か?』


私を心配して、彼は私の顔を覗く。


『ぅ、うん。…は、大丈夫?』


『うん。大丈夫だょ。心配してくれて、ありがとう。』


彼は私のとなりに座っている。


となりにいるのに彼の顔ははっきり見えない。


見えるのは、私の手のとなりにおいてある彼の手だけ。


私は、自然と彼の手に手を伸ばした。


すると、彼は私の手を包み込むように手を繋いでくれた。