帰蝶の話にうーむと唸り殿は答えた。
「――あのサルめがか……!!」
殿の厳しい表情に帰蝶は釈然と答える。
「ええ………!!
柴田殿とサル……!!
もしや戦になるやもしれませぬ……!!
サルは信忠の嫡男…三方師をと立てるのではというお話を聞きますし…また柴田殿は、信孝殿をと押しておられる様子…。
殿ならば…どのような決断を下します?」
意味深な口調でクリっとした美しい瞳を光らせて尋ねた言葉に殿は反するように答えた。
「――信雄はどうした?
兄の仇討ちもせぬまま……まさか怖じ気づいたワケではあるまいな!!」
厳しい口調にも動じず逆にフフッ…と美しい口元に魅惑的な笑みを浮かべた。
「―――信雄は…信孝様より出遅れてございます。
明智を討ったのは…サルめと信孝殿ですからね。
ともに討ちとったにも関わらず信孝様でもなく三方師様を推すというのは…と皆々から反感を勝っているようですが…殿…。
何かご存知ないですか…?」
帰蝶は疑り深く殿に焚き付けた言葉に殿は…フンッ…と鼻で笑い飛ばした。

