私達の話を聞いていた帰蝶が私達の近く歩みを進め切り出した言葉に殿は眉間に皺をよせて尋ねた。
「なぜ………。
サルが市に……?」
「市………?」
殿の言葉に首を傾けて呟いた私に近くにいた諷馬は声を潜めて肘で私の腕を小突いた。
「まったく……!!
姉ちゃん!!
この時代で市っていったら…信長の妹、お市の方しかいないだろ……!!
そのくらい…知っといてくれよ―――!!」
「悪かったわね……!!」
諷馬の小生意気な態度に自分の無知さを棚にあげてプウ……と頬を膨らませたやり取りをみていた帰蝶は突然…高らかに笑い始めた。
「ホホホ………!!
どこも兄弟とは…賑やかな喧嘩ですこと……!!
市様と娘達を引き取りたいと申し上げておりました。」
クスクス…と笑う帰蝶に思わず2人揃って会釈した後…濃姫の切り出した言葉に殿は顎に手をあてて…「それで…?」と話を促し帰蝶は話を続けた…。
「ええ………。
明智を討ちすぐの話ですわ……。
市が私に泣きついて参いりましたの…!!
今は柴田殿のところに身を寄せている様子ですわ…。
でもなにせサルの勢いが凄くていつ天下を取ってもおかしくない勢いですからね…。」

