鍵穴から覗くその向こう側に例の吉乃に似た娘と…家康似の男が仲睦まじく話をしている光景にわしは苛立ちを覚えつつ話に耳を傾けた内容に…わしと吉乃と吉乃の兄である八右衛門しかしらない秘密の祝言の夢の話にわしは…この娘は紛れもなく吉乃の生まれ変わりだと確信し気が意気立つ。
しかしこともあろうに家康似の男はわしの目前で吉乃の生まれ変わりの娘の耳元へと口づけた光景を目の当たりにしわしは怒りの鉄拳を立ちはだかる扉に食らわせた。
その音に気づいた二人は荷台の扉を開けようとしたのを察知し素早く荷物の影に隠れ身を潜める。

