『武士ドルが斬る!?』 〈後編〉



 息巻くおばさんを宥めながら理由を聞いた私は…帽子を目深に被った彼の腕に手を回して目の前にあったカップ式の自動販売機の前に誘導して軽く自販機の使い方を説明すると…ギッシリと重く膨らんだ巾着袋を渡された。



 渋々受け取り彼の好みを聞きつつホットコーヒーのボタンを押し軽快な音楽が流れだしたとともに…いきなり彼は自販機に張り付いて物珍しそうに手探りで構造を確認する様を見て不信感を抱きつつ見守る中やがてドリンクの取り出し口に出来上がりを知らせる音声ガイダンスが流れた。


 ドリンクの取り出し口の扉が自動で開き中から湯気だったホットコーヒーを恐る恐る取り出した彼はよほど自販機が気にいったらしくホットコーヒーを私に渡したまま再度自販機機にコインを入れるよう強要した。