―――クシャ…という音とともに温かい掌から体温が伝わり私は上目使いに見つめる先から声が降り注ぐ。
「案ずるな‥‥!!
これも‥‥策のうちじゃ――!!
ほれ‥‥‥!!
わしが示す先をみよ!!!」
人の心配なんてお構いなしにいつも悪びれない悪戯な微笑を浮かべた殿が先示す先から弓矢を構えた兵達が順を追って矢を放つ姿が目に飛び込む。
「‥‥あ‥あの兵は‥‥‥??
殿の味方の兵ですか?」
雑木林に潜む影から無数に次々と矢を放つその様子に私は思わず生唾を飲み込み尋ねる。
「いや……!!
まさか……!!」
「えっ………?
……まさか……って???
じゃあ…………(汗)」
あっけらかんとした殿の言葉に私は‥新たな無数敵の数に焦る様子をみてククク‥‥‥と含み笑いをして藤吉郎の近くへと私の手を引き歩みよる。
「‥‥‥やつらは‥こやつの連れ立った弓矢の腕に自信のある家臣達じゃ‥‥!!
よって‥‥こやつを極力狙わず敵を仕留める‥‥‥。
だから…ここにいれば幾らか安心じゃ‥‥‥のう‥サルッ!!!」
「ちょっと-――!!
お館様―――!!
わしは矢除けじゃありませんよ―――!!
勘弁してください!!!」

