「―――帰蝶………。」
その安らぎの表情に遠く懐かしいひと場面が流れた。
――――それは……私がこの時代に生きた吉乃の記憶………。
「お命頂戴致します………!!!!」
―――生駒屋敷にていつものように湯殿から帰ってきた彼に向かって短剣を逆手に取り襲いかかってきた帰蝶は意図も簡単に手首を打たれて短剣をなぎ倒された。
「おなごの身でわしを手にかけようとは見上げた根性じゃ………!!!
どこの刺客じゃ……!!」
―――殿はぐっと帰蝶の首を手にかけ力を入れるものの帰蝶は殿を睨みつけながらも涙を潤ませていた…………。
「お待ち下さい。
―――この者のお命私に下さりませ………。」
普段は殿の意に逆らう事などない私だったが……彼女の瞳に潤むその涙に死を覚悟しながらも何かの熱い面影を感じ取り殿の前に歩み出た。
「吉乃…………。
どけっ!!!!
このおなごをやらねば次はわしがやられるのじゃぞ!!」
殿の罵声が頭から響く。
「いえ………どきませぬ!!!
せめて理由だけでも聞いて……それで殺めるかどうか決めればよい事………それにここでは殺生は行わないと常々お約束している事ではありませぬか!!!!」

