「山火事になる前にここから脱出を……!!」
帰蝶が声を張り上げた。
「ダメッ!!!
帰蝶も一緒に行こう!!!」
私は帰蝶の腕に思わずしがみついた。
「姉さま………!!!」
美しいしなやかな眉に皺をよせ困惑した表情で呟く……。
「お心遣い感謝します。
でも私には…ここでやる事がございます……。
それが終わりましたら…必ず吉乃様の時代へ伺います故…どうぞお先にお戻り下さりませ………。」
帰蝶は寂しい表情で自分の腕から私をゆっくり引き剥がし精一杯微笑んだ。
その微笑みに濃君との強い絆を感じた。
何があってもどこにいても互いを思う心が示す力強さに私は言葉を飲み込む………。
「―――もう二度と会えないなんて……思わないで下さりませ………。
―――そう教えてくれたのは……吉乃様でございますよ……。」
私の肩に帰蝶はポンと優しく手を置き安らぎの微笑を浮かべた時……私の目から大粒の涙が溢れた。

