『武士ドルが斬る!?』 〈後編〉



 その近くを優しい夜風がまるで二人を庇護するように優しく吹き付けていく光景に私は言葉を飲み二人なら大丈夫と思って振り返った視界に殿を発見し声をあげそうになるのを必死でこらえている様子を見て殿も私の口を左手で覆い首を横に振った………。


 やがて二人は口づけを解きお互い抱き合う。




 「無事のお帰りをお待ちしておりまする。」




 濃君の腕に抱かれ胸にもたれながら‥帰蝶の言葉に胸を打たれた濃君は帰蝶を抱きしめた。




 「帰蝶も……どうか無事で……………。

 ―――次……会う時は覚悟しといてね。」




 優しく帰蝶の髪を撫でながら想いの丈を伝える。




 その言葉に無言で頷き二人は互いの包容を体に刻み込むようにただきつく抱きしめあった。




 その光景に私も殿も2人の時間を守りたくて静かにその場を離れた。





 少し彼女達から離れたところで…先程の部屋に戻りつつ殿と並んで歩いた。





 「帰蝶も連れていってあげたいな……。」



 殿はその言葉にうーんと顔をしかめつつ言葉を繋げた。




 「あれは………一度口にした事は誰がなんと言おうが利かぬ………。


 それが………マムシの娘、濃姫じゃ……。


 もしかしたら……吉乃の言葉なら動くやも知れぬがな……。」