『武士ドルが斬る!?』 〈後編〉



 殿は里芋を箸に差してニヤリと笑ってみせたのに藤吉郎は真っ青になり私に助けを求めようと口を開いた時……里芋を口に突っ込まれていた。



 そんなやりとりを苦笑いで見守るなか…濃姫と帰蝶の事を気にかけボンヤリと庭へと目を落としている様子に気づいた殿は…諷馬に無理矢理箸と器を渡すと立ち上がり縁側へと乱暴に座った。




 「殿………。


 どうなさいました?」




 私はゆっくりと殿のすぐ横に座り訪ねた。



 「―――月じゃ……。」





 夜空を指差す方向に赤く燃える満月が風に運ばれた雲から顔を出しながら夜の闇を明るく照らした。




 「――吉乃………!!


 わしは…濃をここにおいていくつもりじゃ!!!」




 「えっ…………?」


 突然…濃姫もとい濃君の事を切り出した殿の言葉に私は驚きの声をあげた。




 「―――わしはもう天下人ではない……。


 織田信長という武将は…あの本能寺で討たれた時からお濃は織田家から解放されたのじゃ………。



 わしとお濃の契約は織田信長という武将に正室として嫁いだ事で交わされた契約………わしが死んだこの時代では…お濃は晴れて自由の身何もずっとわしのそばに仕えていなくてもよいと兼ね兼ね思っていたのじゃ……。
だから今回…濃はこの時代に置いていく……。」