濃姫の厳しい一言に藤吉郎は思わず声を上げて否定した。
「それは……違いますっ!!!
わしは…悔しいのですっ!!!
信忠様は…このサルめも幼い頃より生駒の屋敷にて影ながらですが成長を見守っておりました。
それが本能寺において非業の最期を遂げられたなんてこのサル…悔やんでも悔やみきれませぬ!!
それが故………!!
信忠様のご無念を思えばこそ嫡子…三法師様に織田家をついで欲しいのでございます。」
唇を噛み締めて悲痛の想いを語る。
「――それにしても信忠様亡き後…信雄様だって立派な跡目ではございませぬか?」
彼の言葉に帰蝶は冷静に続けた。
「それでも…三法師様にお会いした時わしは三法師様に信忠様の面影を見ました。
まだあんな幼子というのに……これから誰が三法師様に立派な武将として手助けするというのでしょう……そう思えばこそです。
そこに……邪念などございませぬ……。」

