殿…帰蝶…濃姫の3人から睨まれた藤吉郎は肩をすくめて観念した。
「―――わしはただお市様や3人の姫君の身を案じているだけです。
それに…御館様が本能寺で討たれた後…この機に乗じて天下取りの異名に縋ろうとお市様や3人の姫君を狙う輩もいるかもしれません…。
それに事実…。
お市様も3人の姫君も狙われている様子です。
わしは少しでもこの状況を沈めて平安な暮らしをお市様達にして欲しいと願っております。」
「狙われている……?
誰にじゃ?」
間髪を入れずに厳しい言葉を放つ殿に藤吉郎は身を震えあがらせて答えた。
「ようわかりませぬが…忍衆を送りつけ“暦”がどうとかと申していたと権六殿(柴田勝家の事)も申しておりました。」
「う~む‥‥‥。」
気難しい表情で器にもられた里芋の煮物を口に頬張った。
「それは市達から“暦”のことを聞き出そうと画策している連中がいるという事ですか?」
濃姫も器にもられたおかずを箸でつかみ藤吉郎の口に押し込みつつ尋ねた。
「ええ‥‥‥。
間違いありません‥‥。
繋がりを持つ連中を使い“暦”の行方を必死に探しておるようです。 」

