「め、校條さんせっかくこんな素敵な手紙書いてくれたのに……」



うれしくないなんて。



「直接告白しないどころか、手紙も人の靴箱の中に黙って入れるなんて。内容が素敵でも、怖いよ。まあ、内容が素敵とは僕は思わないけど」



「そ、それは校條さんが恥ずかしがりやだからで……」



「それに、音楽室来て、ってことはジンクス信じてるってことでしょ?そんなの信じてるとか……フッ」



バカじゃない、というような顔をして鼻で笑う水沢くん。



その顔はもう王子様でもなく、王様でもなく……悪魔だ。




そういえば、水沢くんの言葉で思い出したけど、そんなジンクスがあったんだね、この学校。



うちの学校の音楽室は、離れ校舎の最上階にあって、そこからは昼夜問わずに絶景が見渡せる。



そして、その音楽室で告白すると、うまくいくとか……。



そういう言い伝えがある。