悲鳴で教室が騒がしくなっている中、少し鋭さを含めた声が教室に響いた。
その声は、水沢くんのもの。
水沢くんの声が聞こえると女子たちはだんだんと静かになった。
「……獅童くん、だっけ?こんな公共の場であんなことするなんて、ちょっと不謹慎じゃない?」
ガタッと水沢くんがイスから立ち上がって、そう注意をする。
……あくまで、“王子様”の水沢くんで。
だけどその声と表情は怒りを含めているようで、少し怖い。
「だれお前。初対面のお前になんでそんなこと言われなきゃなんねーの?」
そんな水沢くんに対して、獅童くんが反応し、イラッとした様子でそう返した。
「僕は水沢 佳人。それに初対面だろうとなかろうと、間違ったこと注意してなにが悪いの?」
ニコリ、と笑いながら水沢くんが言う。
笑っているはずの水沢くんの顔に……怒りマークが見える。

