私はズズッと鼻をすすって、とめどなくあふれ続ける涙をぬぐった。
「ねぇ、僕の声無視？いい度胸してるね、キミ」
もう、まだ幻聴聞こえてくるし……。
私、どんだけ水沢くんのこと好きなんだろう。
「……オイ。シカトしてるな、召使い」
――ギュッ……
そんな低い、しびれを切らしたかのような声が聞こえてきたと思ったら……突然体が温もりに包まれた。
「え？……え？！」
ビックリして首元にある私のより逞しい腕をおそるおそる触れてみた。
ペタペタと触ってみるけど、幻でもなんでもなくて、私を抱きしめている。
「ほ、ホンモノの水沢くん……！？」
「ニセモノの僕が存在するわけ？」
呆れた感じでそう言う声……水沢くん、だ。
水沢くんだと確信した瞬間、私の目から涙がさらにあふれる。
