それから順調に劇は進んでいき――……。
ここで私はおばあさんに化けた魔女に毒リンゴをもらい、そして食べるフリをしてその場に倒れた。
そこで一旦幕が下り、私たちは背景変更の準備へととりかかる。
「野上さん、準備できたからこの中入っていいよ!」
「あ、はいっ」
小人役の子にそう言われ、白色の棺の中に横になった。
うわぁ……なんか緊張するなぁ……。
しばらく私は寝ているだけだけど、それだけでも緊張する。
それに……ここで、ようやく水沢くんが登場するから、だ。
さっきあんなこと言われて、一応気を取り直したとはいえど、悲しみが消えたわけじゃない。
でも今は、劇に集中しないと……。

